きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「ほんまは、宇山と来たかったやろ」

「そんな……」

何を言っているんだろう。

少なくとも、この島についてから、悠斗のことは全然思い出さなかった。

それぐらい楽しかった。

こんなにはしゃいだのはいつぶりだろう、と思うぐらい、心から楽しんだ。


それに、例え私が「悠斗と来たかった」と思っていたとしても、彼が謝る必要は全くない。

むしろ宮本くんは、練習量が多いことで有名なバスケ部の貴重なオフを使ったことを感謝されるべきなのに。

「……『悠斗と来たかった』、そう言うとでも思った?」

隣に立っている彼を見上げる。

夕日に照らされる彼の頬は少し赤く見えた。

「そんなこと、全く思っていないよ。本当に全く思っていない。一緒にいてくれたのが、宮本くんでよかった」

私の、悠斗に対する気持ちを知った上で、励まそうと連れ出してくれた宮本くん。
悠斗に失恋したと気付いた時から、ずっと気にかけてくれていた宮本くん。
失恋して泣いてしまったあの日、何も言わずにずっと側にいてくれた宮本くん。

他の誰でもない、宮本くんが一緒にいてくれて、本当によかった。


「……お前なあ、もうほんまに、お前っていう奴は」

宮本くんは呆れたように笑うと、背負っていたリュックから、紙袋を取り出した。

「これ、誕生日プレゼント。俺からもらっても、嬉しくないかもしれへんけど」

「え、でも、もう充分色々と……」

「いいから、開けてみて」

彼に促され、紙袋からアクセサリーケースを取り出す。

開けると、シルバーのハートの真ん中に赤い石、きっとルビーが揺れていた。

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