きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「そういえば、明日からどうするん?」

私の家が見えて来た時、彼が何かを思い出したように口を開いた。

「明日から?」

「うん、放課後、宇山のこと待つん?」

「ああ……」

どうしようか。まあ、もう選択肢は一つしかないんだけど。

「もう、待つのやめるよ」

「……いいん? それで」

「うん、いい」

きっぱりと答える。

「……ほんまは、一緒に帰りたいんじゃないん?」

「うーん、まあ、それはそうだけど。けど、私が待つことで、悠斗とか悠斗の好きな人が困ったり、嫌な想いしたりするかもしれないでしょ。私はそっちの方が嫌だ」

もうちょっとわがまま言ってもいいのに、と呟いた彼の声は、聞こえなかったフリをしておこう。

時には、本心と違っても、強がりたいときがあるんだから。

「じゃあ、明日、部活終わるの待ってて」

「え、私が?」

「うん、一緒に帰ろうや」

平然と告げる彼に、私は少し動揺する。

「途中まで一緒なんやから、一緒に帰ろうや」

な? と彼は同意を求めるように、私に尋ねた。

「けど……」

宮本くんと二人で帰る? 何もない日に?

それってなんだか。

「宮本くんのファンに睨まれそう……」

「なんやねん、その断り方」

彼のハハッと明るい笑い声が、静かな道に響く。

「まあ、いじめられたら、その時はその時考えよ」

「え、普通に嫌なんだけど」

「……『私も宮本くんに何かお返ししたい』ってさっき言うたのは、誰かな?」

似ていない物真似に、思わず私は吹き出す。

「あー、もう、わかったよ。待っておく」

「ありがとう」

宮本くんは満足そうに笑った。


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