きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
「……別れた、か」

短かったなあ。一ヶ月も経っていないよね?

かなり短い気がするけど、一般的なのだろうか。

いや、でも、少なくとも、悠斗より前に付き合い始めた鈴ちゃんはまだ彼氏と続いているし、やっぱりかなり短い気がする。

一ヶ月でフるということは、元カノは余程悠斗に嫌気がさしたのかな。

そもそも、元カノは、悠斗のどこが好きだったんだろう。

サッカー部のマネージャー経由で知り合ったのなら、悠斗がいかにサッカーにしかしていないことぐらい告白する前から知っていそうなのにな。

ぼんやりと一人でぐるぐる考えていると、カバンに入れていたスマートフォンが鳴った。

「もしもし?」

「あ、俺やけど」

突然、なにかを思い出したようにかかってくる電話。

二、三回同じようなことがあるとすっかり慣れてしまう。

「お疲れ様。あれ、合宿は?」

確か宮本くんは四日前から合宿に行っていて、今晩遅くに帰ってくるはずだった。
実際、この四日間、ほとんど連絡も来なかったし。

「今学校に戻ってきたところ」

「あれ、帰って来るの、夜遅くって言っていなかった?」

「よく覚えてるやん。俺が帰って来るの待ち遠しかった?」

「そんなわけないじゃん」

冗談を軽くあしらうと、「辛辣やなあ」と、電話口から明るい笑い声が届いた。

「ほんまは遅くになる予定やったんやけど、道が混みそうやから合宿所を早めに出てん」

「そうなんだ」

「ほら、無事戻ってきたって知らせとかへんと、寂しくて泣いたりしてるかなって心配やったから」

「あー、それはご親切にどうも」

棒読みで答えた私に、また軽快な笑い声が届く。

その時、悠斗が少し離れた自動販売機から私を呼ぶ声が聞こえた。

「ごめん、ちょっと待って」

私は電話口を手で押さえると、「なに?」と聞き返す。

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