先生との恋・番外編集・
「ねえ、高橋」
手持無沙汰に、ペットボトルの蓋をなぞるように触れながら、さっき、眠れない時に考えていたことを聞いてみる。
「ここで、じっと、過ごしていたらきっと発作が出る確率も低くてきつい思いもしなくていいと思う。
手術して、少し痛い思いして、治ればいいとも思う。我慢しながらも長生きするの。
それと、好きなことめいっぱいやりきって、悔いなし!ってあっさり若く死ぬの、どっちが幸せなんだろうね」
本当は、こんな悩みたくないけど。
この病気になったのだから、しょうがない。
親に、とかそんな気持ちはもちろんあるけど、自分だけ、で考えたら。
何が、自分にとっての幸せなんだろう。
「あの子はちゃんと言われた通り、決められた通り約束を守ってたみたいだよ。外にも出ず、食べたいものも我慢して。聞いた限りだと。それなのに……、いい子にしてたのに、お迎えきちゃったんだね」
あの子は、それで幸せだったのだろうか。
高橋は、視線を下げて頭を垂れた。
髪の毛で、もう表情は見えない。
意地悪な質問だっただろうか。
それとも昼のダメージで弱っているからか。