先生との恋・番外編集・



あぁやって、お母さんはきっと泣き崩れて、お父さんは悲しそうにお母さんに寄り添って。


看護師さんや高橋たちはそれを見守って。


淡々と退院の準備をして、さっきまでそこに入院していたのが本当だったかのようにいなくなる。


空き部屋になって。

まるで無かったかのように。



「いつかのあたしなんだろうけど、あたしがきっと見ることができない所が、見れた気分だった」

あたしがそうなったら、あんな風になるんだろうな。

そう。








「…岡本さん」


「ん?」



「手術、しましょう?」






今日の説得は、いつもと違う。


絞り出したかのような、懇願するようなそんな声で。


高橋は、とても真剣な表情で。




…気持ちは、すごく分かる。


だけど、


「…しない」



首を振り断る。


「岡本さん、」


「できない。まだ、、、」



ああいう光景をみてもなお、あたしは気持ちは変わらない。


親にも、悪いとは思うけど。


した方がいいんだろうな、それはお母さんの涙を、心配そうな顔を見るたびに思うのだけど。




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