依存妻と狂愛する俺
「風愛…大好き……」
「未雷くん、ごめんね」

二人は愛し合い何度も果てて、未雷の腕枕でうっとりとしている風愛。

「何で謝るの?」
ゆっくり頭を撫でながら、優しく問いかける。

「飲み会、抜け出して来てくれたんだよね?」
未雷を見上げ、申し訳なさそうに言った。

「あー、いいんだよ。
どうせ、つまんなかったし。
てか!ウザかった!行ったこと、後悔してる」
「そっか。
…………未雷くん、もっと撫でて?
気持ちいい……」

「ん。いいよ」
未雷はゆっくり頭を撫で続ける。

「飲み会…」
「ん?」
「あの女の人もいたの?」
「え?」
「ほら“あの”この前一緒にいた、女性……」
「あー、いたよ。でもすぐ、いなくなるよ……」

「え?どうゆうこと?」
未雷はこれ以上何も言わず、ただ頭を撫でて微笑んでいただけだった。


風愛が眠ったのを確認し、薬を嗅がせた未雷。
「ごめんね、風愛。
ちょっと二人を消してくるから、ゆっくり休んでてね!」
頬にキスをして、外に出た。

「ライ、どうぞ」
赤星が、待っていて後部座席のドアを開けた。

「雄飛は?」
「例の場所で待ってますよ」
「そう……最期にふさわしい場所だな」

ある森の中。
小さな小屋がある。
ここは、未雷・風愛・雄飛の思い出の場所だ。
三人がまだ小学生の時、秘密基地だと言ってよく遊んだ小屋なのだ。

未雷が入ると、雄飛が待っていた。

「ライ……いや、未雷。
遅かったね!」
雄飛は、何故か笑顔だった。

「幸せそうだな、雄飛」

「最期に、好きな女抱けたから」
「そう、良かったな」

「……………未雷。
憎い?俺が」

「憎いよ、最初から……!」
お互い、全く視線を反らさず冷静に話す。

「だろうな。本当の風愛の好きな男は“この俺”だもんなぁ」
雄飛が、フッと笑った。

「あんなに俺に依存してる風愛が、心の奥底でお前を求めてたからな。本気で好きになるって、凄いな」



「……………一つ、お願いがある」
雄飛が真顔になり、未雷を見据える。

「ん?」

「風愛を、解放してやってくれ」

「は?」

「普通の夫婦で、いさせてやってほしい。
普通の未雷の妻。
普通に家事をして、普通に買い物に出かけて、普通に友達とショッピングして、時々は普通に女子会とか行かせて、普通にデートをして……って、そうゆう“普通”のこと。
今みたいにしなくても、きっと風愛は未雷から離れたりしない。だから━━━━━━━━」

ガン━━━━━━!!!!?

未雷が壁を殴り、脆い壁紙が剥がれ落ちる。




「俺は、お前の“そうゆうところが”大っ嫌いだ!」

未雷が怒りに包まれ、雄飛を睨んでいた。
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