You and I ~あるバカップルの平和な日常~
つい、吐き捨てるように言ってしまった僕の手を愛子はぎゅっと握り

「ゆうちゃんは、愛されてることに気付いてないだけだよ?知らないかもしれないけど、ゆうちゃんのパパもママも、うちの店ではゆうちゃんのことばっかり話してる。なかなか相手にしてやれなくて申し訳ないともね」

そんなことは、初耳だった。

しかし、愛子は昔から嘘をつくような子ではない。

「もし寂しいなら、毎日うちにおいで。うちは賑やかだから寂しくないでしょ?」

そう言ってニコニコ笑う愛子。

参ったな…。

初対面の時から、とても可愛くて優しい子だと思っていたが、さほど賢いイメージはなかったのに、本当は僕よりずっと大人だと気付いた。

思えば、いつもそうだった。

僕たちがあまりに親しくしているので、いかにも悪童というタイプが執拗に冷やかしてきて、思わず僕がキレる寸前に

「君たち、羨ましいんでしょ?」

あっけらかんと愛子は言い放ち、その言葉に悪童たちがカッカしても

「怒るってことは図星だよね?嫉妬むき出しはカッコ悪いよ」

ねー?と、その辺の女子に愛子が笑って言うと、そうだよね、ホント男子ってガキだよね、などと言って女子たちも笑っていた。
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