You and I ~あるバカップルの平和な日常~
香さんは、愛子にとって大切な家族だから、滞在中だけは…と思ったくせに、いつも隣で賑やかな愛子が不在だと、ガラにもなく、少しだけ寂しい。

僕もまだまだ子供なのだと気付かされる。

何となく、まっすぐ帰る気がせず、本屋で長居してから家に向かうと、隣の松岡家の前では、一家全員で香さんとの別れを惜しんでいる様子だった。

香さんの旦那さんと思われる人も居る。

愛子は、相変わらず忠犬のように香さんに抱きついたままだったが、昔のように泣いたりはしていなかった。

成長したじゃないか…。

ふと、愛子が僕に気付き、笑顔で小さく手を振る。

僕は近づいていき

「お久しぶりです。もう行くんですか?」

香さんに挨拶すると 

「ええ。ゆうちゃん、愛ちゃんのこと宜しくね」

みんなの前で言われ、少し照れるが 

「ハイ。ご心配なく」
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