お見合いマリアージュ~敏腕弁護士との仮初めの夫婦生活、彼の愛は予想外でした~
ライトアップされた東京タワーが見えるとっておきの個室で季節のディナーコースを食した。


「今夜は洋装だし、食べっぷりはいいな…与奈」

「へっ?」
私は瓜生さんに突然名前を呼ばれ、驚いて変な声を出してしまう。

宇佐美社長は私の声を訊き、笑う。

「瓜生さんはいきなり名前を呼ぶから…変な声が出したじゃないですか…」

「妻となるんだ…夫が名前を呼ぶのは当然だろ?」

「…お兄ちゃん…与奈さんとの出逢いは?」

「初めて出逢ったのは七年前だ…彼女が俺のいた『設楽法律事務所』にアルバイトに来たコトから始まる・・・」
あの頃の彼は刑事事件を専門とする弁護士だった。若いけど、敏腕弁護士として有名で。当時、大きな事件の担当弁護士として、世間の注目を浴びたコトもあった。今は我が社や宇佐美社長の企業法務担当の弁護士として、リハビリ中の設楽弁護士に代わり、事務所の代表を務めていた。

「…若くして…瓜生さんに目を付けられたワケだな…」
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