毒舌な君の，ひどく甘い素顔

頬が一気にほでって，私は涙目でキッと幸之助くんを睨んだ。



「おいそれは流石に怒られ…」「幸之助くっ……」

「近い」



幸之助くんがなにか言おうとして，同時に私が抗議の声をあげたとき。

今田くんが私の肩をそっと押して，もう片方の手で幸之助くんの顔面をべりっと音が出そうな位強く私から引き剥がした。



「おい！　イッテーし態度違いすぎだろ！　ばらすぞテメー」

「いやお前が悪ふざけするのが悪いだろ」

「未初もなに顔赤くしてんの？　しかも，前から思ってたけどなんで２人は名前呼びな訳？　敬語でもないし」



今田くんだけがそ知らぬ顔で私に非難するような視線を向けるなか，仲良いななんて思ってる余裕はない。



「そ……れは」

「ちっ…もういい。来て」

「ふぇえ！？」

「あ，いってら～」



呑気に手をふる幸之助くんに見送られて，私は今田くんに手を引かれどこかにつれていかれる。