毒舌な君の,ひどく甘い素顔
「あの……どこいくの?」

「……決めてなかった……」



お昼休みだから問題ないけど,少したって恐る恐る聞いた私にかえって来たのはそんな言葉。

えぇ? そもそもなんで……

-ガコンッ

困惑する私の耳に届いたのはそんな音。



「はい。あげる。連れ出してごめんね」

「え……でも」

「でもじゃない。幸之助だったら受けとるくせに」

「え,ありがとう??」

「なんで疑問系?」

「だっ,だって……」

「でもとかだってとかそんなんばっか。他にないの?」



うっと言葉につまる。

だって何て言っていいか分からないんだもん。

あ,まただってって思っちゃった。

反省して手元に視線を落とす。



「じゃっじゃあ,なんでリンゴジュース?」



手元にあるのは小さいサイズのペットボトル。



「僕が好きだから。悪い?」



今田くんの顔が赤くて,突き放すような言い方も照れているようにしか感じなかった。

また胸がきゅうっと疼く。



「で,なんで僕だけ他人行儀なわけ? 僕のが早かったのにおかしくない?」
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