毒舌な君の，ひどく甘い素顔

放課後，誰よりも早く教室を出た私は，なんとなく自販機に向かって，リンゴジュースを買った。

そして足をぷらぷらさせながら，近くのベンチで喉に流す。



「…はっ…やっと見つけた」



肩が上下して，一瞬本気で心臓が止まる。

その振動で，キャップの空いたペットボトルからジュースが飛び出て指にかかる。　　

今田くんは校内をはしからはしまで走り回ったような出で立ちをしていた。

もしかしたら本当にしたのかもしれない。



「あ……と，どうかした？」

「それ，キモいからやめて。今すぐ」



私の表情が分かりやすく固まる。

簡単にキモいなんて言ってしまえる今田くんだから。



「それって……？」



それでも悪あがきをする私。

そして次の瞬間，泣きそうな顔をする今田くんに，全思考がショートした。



「その作り笑顔の事だよっなんで，なんで僕から離れようとするの？」