毒舌な君の,ひどく甘い素顔
「っ未初!」



やだっやだ,やだっ

私は気付けばその場から逃げだしていた。

なんで,なにが

気付きたくないこと,いっぱいになった

誰があんな顔……私? 違う,だってそうならなんで

ぐるぐる ぐるぐる

吐きそうになって,私は適当な空き教室の扉を開けた。

-ガララゴッ  「イッ……って!? 」





「幸之助くん!? なにして…」

「お前が,な……にやってんだよ未初…たんこぶできたわバカ」



からかって私を名前で呼んだあの日から,幸之助くんは私を未初と呼ぶ。

でも,今田くんとは全然違う。

じゃなくて!!



「大丈夫!?」

「だいじょばんわアホ。今日一日変だろ,せめてなにがあったか説明しろ」



何故かパックの牛乳を飲みながら扉にもたれていたらしい幸之助くんは,頭をさすりながら問いかける。

罪悪感もあって,答えないわけにはいかない。



「あの,私が今田くんのこと好きなのは知ってると思うんだけど」

「あ? うん,まぁ?」

「えと,ある伝手で今田くんに好きな人がいるって知ってしまって……」

「あぁなるほど……はいはい」
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