Rainbow Baby
市長がそう言った時、私の頭の中には、母に見せてもらった母子手帳が浮かびました。私の母子手帳には、「無事に生まれてきてくれてよかった」とか「陣痛はものすごく辛かったけど、生まれてきた赤ちゃんの顔を見たら、痛みも疲れも飛んだ」と書かれていたことを、ふと思い出したのです。

みんな両親に望まれて、当たり前のように生まれてきています。でも、元気に生まれてくることが当たり前じゃないこともあるということを、両親からあることを聞かされて、知りました。

三人兄弟の一番上が私です。ですが、私は両親にとって「一人目の子ども」ではなかったのです。



私の両親は、真逆のタイプの人間です。

父は子どもが大好きで、高校生の頃から家庭を持ちたいと強く思っていたそうですが、母は逆に結婚願望は一切なく、子どもも好きではないタイプでした。

そんな二人は、友人の結婚式で出会い、交際するようになったそうです。ですが、この時も母は「この人と結婚する」とは一切考えていなかったそうです。
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