甘やかし婚 ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
『――沙也?』
数回のコール音の後、彼が応答した。
「あ、あの響谷副社長、今、お時間よろしいですか?」
緊張と焦りがないまぜになり、声が裏返る。
こんな風に電話で話すのも初めてだ。
会って話すより少し低く聞こえる声に鼓動が早まる。
『ああ。おはよう、沙也から連絡をくれるとはな。なにかあったのか?』
「お、おはようございます。あの、ネットニュースが……」
きちんと順序だてて説明しようと考えていたのに、いざ話し出すと焦りでちぐはぐな会話しかできない。
うまく立ち回れない自分が嫌になる。
『あの婚約云々の記事か?』
「すみません、私のせいで……写真を撮られたうえにとんでもないご迷惑をおかけして」
『迷惑? なんでだ?』
怪訝そうに問い返され、逆に困惑する。
『あの記事には驚いたが俺としてはありがたい。おかげで女性関係のマイナスイメージがずいぶん払拭されるだろうし、縁談話も持ち込まれずに済む。なにより本気で口説いている女性との記事だし否定する理由がない』
「え……?」
『今朝一番にこの記事について関係各所から確認があって、事実だと伝えた。表立って騒がれないよう手配したが、お前は俺の婚約者とすでに世間に認識されている。ちなみに響谷ホールディングスのホームページでも発表しているぞ』
ありえない返答にひゅっと息を呑んだ。
数回のコール音の後、彼が応答した。
「あ、あの響谷副社長、今、お時間よろしいですか?」
緊張と焦りがないまぜになり、声が裏返る。
こんな風に電話で話すのも初めてだ。
会って話すより少し低く聞こえる声に鼓動が早まる。
『ああ。おはよう、沙也から連絡をくれるとはな。なにかあったのか?』
「お、おはようございます。あの、ネットニュースが……」
きちんと順序だてて説明しようと考えていたのに、いざ話し出すと焦りでちぐはぐな会話しかできない。
うまく立ち回れない自分が嫌になる。
『あの婚約云々の記事か?』
「すみません、私のせいで……写真を撮られたうえにとんでもないご迷惑をおかけして」
『迷惑? なんでだ?』
怪訝そうに問い返され、逆に困惑する。
『あの記事には驚いたが俺としてはありがたい。おかげで女性関係のマイナスイメージがずいぶん払拭されるだろうし、縁談話も持ち込まれずに済む。なにより本気で口説いている女性との記事だし否定する理由がない』
「え……?」
『今朝一番にこの記事について関係各所から確認があって、事実だと伝えた。表立って騒がれないよう手配したが、お前は俺の婚約者とすでに世間に認識されている。ちなみに響谷ホールディングスのホームページでも発表しているぞ』
ありえない返答にひゅっと息を呑んだ。