本気の恋を、教えてやるよ。



「駒澤くん、ほんとにいい人。ありがとう」


だけどその言葉に俺は不機嫌になってしまう。


ありがとう、なんて言って、頼るつもりなんてないくせに。


というかいい人なのはどっちだ。

あんな最低な男を何度も何度も許して、お人好しにも程がある。


それに、俺が稲葉にとって“いい人”なのは、俺が稲葉を好きだからで。稲葉限定の優しさだ。


……なんて、言えたら苦労しない。


本当は筒井からアンタを奪って、閉じ込めて、沢山傷ついたこの子を、二人だけの世界でめちゃくちゃに甘やかしたい。


そんなふうに思ってるだなんて、想像もしてないんだろうな。


「……腫れ、大分良くなってきたな。このままもう少し冷やしといて。俺はそろそろ戻るから」


少し温くなった氷水の袋を稲葉に渡す。


「うん、ありがとう」


ありがとう、はもう聞き飽きた。

俺はアンタの「助けて」が欲しい。



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