本気の恋を、教えてやるよ。



「駒澤くん!どうしたの?忘れ物?」

「いや、稲葉が遅れるって聞いて様子見に来た」

「え!そうなのかごめんね!」


わざわざ申し訳ない……。


すると、駒澤くんが手を伸ばしてきて軽々と私から資料を奪った。


「えっ!」

「手伝う」

「そんな、いいよいいよ、大丈夫だから!」


慌てて取り返そうとすると、駒澤くんの綺麗な瞳がじろりと私を睨む。


「両手塞がった状態でどうするつもり?」


そう言われてしまうと確かにその通りで、うっと言葉につまりながら、「床に置くとか……」と弱々しく抗議した言葉は「二度手間」とバッサリ斬られてしまった。


「いいから、二人でさっさと終わらせて合流するよ」

「ごめんねありがとう……」

「謝るのナシ。俺が勝手に来たんだし」


これ資料室?と首を傾げて聞いてくる駒澤くんの優しさにジーンとする。


資料室までの道を歩きながら、駒澤くんが手元のファイルに目を落として口をいた。



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