本気の恋を、教えてやるよ。



「これ、資料室の棚にしまうの?」

「あ、うん!番号順に1から10までって言われたかな」

「……9冊しかないけど」


その言葉に目を見開いて駒澤くんが持つファイルを凝視する。


1、2、3………ほんとだ!一冊足りない!


「席に置いてきたのかも……」

「俺も、足りないことにもっと早く気づけば良かった」


苦笑する駒澤くんに力なく首を振る。駒澤くんは何も悪くないもん……。


「稲葉、取ってきたら?」

「ううん!駒澤くんやっぱりここまででいいよ、あとは私一人で平気だから!」

「ここまで来て放っておけって?」


不機嫌そうに目が眇られ、たじろぐ。


「で、でもお昼遅くなっちゃうし……それにどこの棚か分からないでしょ?」


そう言うと、駒澤くんの顔がますます険しくなって、余計なことを言ったかもしれない……と後悔した。


でも、駒澤くんが資料室を使ってるところなんてほとんど見たことがないから、普段は使ってないはずだ。



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