本気の恋を、教えてやるよ。



……今更降り出した、今年の初雪だった。


なんだ。私、もう、慶太のこと何も分からなくなってたんだ……。


昔だったら、慶太の表情を見ただけで、何を考えてるかすぐに分かったのに。


慶太の見せていた困り笑顔は、私に別れ話を告げるため?

優しくしてくれてたのは、最後に同情でもしたつもりだったの?


「ひっど……」


慶太、あなた、やっぱり最低だよ。

皆の言う通りだ。最後に優しくして持ちあげて、その後で一気に落とすなんて。


そんな男、別れて正解だ。


なのに。


「──っ……、ぅあ……っ」


──望んでいたはずの結末なのに、何故だか息もできないほど、胸が痛くて、苦しくて、辛くて。


止まれ、止まれ。

そう念じても涙は次から次へと零れていく。


ねえ、慶太。憶えてた?


今日は私たちの記念日だったんだよ──。







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