本気の恋を、教えてやるよ。
*º楽斗side.
書いたばかりのプログラムが大量のエラーを吐き出し、画面が赤い文字で埋め尽くされる。
「あ゛ーっ!クソッ」
思わず舌打ちをすれば、そろりと壱人がこちらを覗き込んできた。
「おいおい、なんで今日そんなピリピリしてんの?」
「うるせー……」
今日に限ったことじゃない。
ここ最近、自分でも分かりやすいくらいに俺は不機嫌だと思う。しょうもないケアレスミスまで繰り返して。──原因なんて、分かりきってるけど。
「あれか?折角のクリスマスなのに残業だからむしゃくしゃしてんの?」
「違う」
「こんな、他部署の火消要員になんかされなきゃ、稲葉さんのこと誘えたもんなあ」
違うって言ってんのに、人の話を聞かずウンウン頷く壱人。
……人の話を聞けよ。
それに──。
「……誘ったところで、来るわけないだろ」
呟いた言葉は壱人には届かず、ただ自分の胸を抉っただけだった。