本気の恋を、教えてやるよ。




二人分の料理とともに残された私は、途方に暮れる。


さすがに二人分は食べきれないけど……テイクアウトとか、できるかな。


せめて自分の分は食べよう。あまり時間もないから、急がないと。


スプーンを手に持ち、すっかり冷めてしまったスープを口に運ぶ。


食事を進めながら、最後に言われた言葉を思い出した。


「自分を大切に……か」


似たようなことを、梓ちゃんにも言われたことがある。


……自分を大切にするって、一体どうすればいいんだろう。




そんな事があった翌日。


立木さんも慶太も働くフロアが違うから、特に顔を合わせることも無く仕事が始まる。


今日も今日とて書類が溜まっていて、休まず手を動かしながら集中していた私は、背後から迫る人影に気づかなかった。


「わっ!」

「!?」

「だーれだ?」


突然真っ暗になった視界と、こちらをからかうような愉しげな声。



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