本気の恋を、教えてやるよ。




「──待たせちゃってごめんね」


その後、小走りで約束していた場所に向かうと、慶太は今日の段取りや確認事項が記載された資料を確認していた。


「ん。これ、茉莉の分」

「ありがとう」


差し出された資料を受け取ろうとする。

しかし、慶太の手が離れず、資料を引っ張り合うような状況になり、首を傾げた。


「慶太?」

「……あいつと、別れたの?」


顔を上げた私に、真っ直ぐな視線が突き刺さる。


直球すぎるその言葉に、心臓がドクリと跳ねた。


じわり、と手に嫌な汗が滲んで。慶太から、目を逸らせなくて。


そんな私を見兼ねたのか、慶太は資料から手を離すと、私を抱き寄せるようにポンポンと優しく背中を叩き、


「……いきなり無遠慮なこと聞いて、ごめんな」


でも、俺のこと選んでくれたって自惚れて良い?


──切なさで溢れた声で、そう囁いた。


そう。

私は、慶太を選んだんだ。



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