本気の恋を、教えてやるよ。



手元のティーカップに視線を落としながらもそう簡潔に伝えると、梓ちゃんの動きが固まったのが雰囲気で分かった。


私と梓ちゃんの音が消えて、雑音ばかりが耳に残る。


耳障りで居心地の悪いその空気を裂いたのは、梓ちゃんの呆然としたような声だった。


「え、なん、で……?」


嘘でしょ?と空笑いする梓ちゃんに、首を振る。


嘘じゃない。本当なの、と伝えるように。


すると、梓ちゃんの表情がみるみる歪み。


「なんで……っ」


酷く悔しそうな眼差しを、私に向けた。


「やっと茉莉が幸せになれると思ったのに、なんで?……駒澤が、茉莉に何かしたの?」

「違う……!違うよ、私が……っ」

「茉莉が、フッたの?」


信じられない、と目が見開かれる。


「なんで……駒澤のこと、嫌いになった?」

「嫌いになんか……」


なれる訳が無かった。

あんなに優しくて、暖かい人を。



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