本気の恋を、教えてやるよ。



「今休憩中?用があって降りてきたんだけど、丁度見かけたから声掛けちゃった」


でもタイミング悪かったかな、と湯気を立てるマグカップをじっと見る佐川くんに、ううん、と首を振る。


「大丈夫だよ。なんだか久しぶりだね……」


駒澤くんと関わりが無くなってしまった今ではあまり会うことも見かけることも少なくて。


佐川くんは私の言葉に、どこか困ったような微笑みを浮かべてから、「少しだけ向こうで話さない?」と、人気の少ない廊下の隅を横目で見た。


なんだろう、とは思いながら断る理由もなく、前を歩く佐川くんに着いていく。


いつもはニコニコと弾けるような笑顔の佐川くんが、今日は遠慮がちに微笑むばかりだから、何故か訳もなく緊張していくのを感じた。


「突然呼び出してごめん。結局マグカップも置いてこさせちゃったし……あとでお茶代払うよ」

「全然、気にしないで!それで、話って?」

「うん……あのさ、楽斗と別れたって本当?」




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