角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「あっ、平野先輩だぁ!」


お菓子作りの途中、クラスメイトがいきなり騒ぎだすから作業を中断して顔を上げると、女の子たちは窓際に集まって外を見ていた。


「きゃ〜、平野先輩っ!!」

「かっこいい〜!」


窓の外に向かって手を振るみんな。


もしかしてグラウンドに先輩がいるのかな。


家庭科の先生が準備室に取り物を取りに行っていて今は不在。

少しくらい大丈夫かなぁ……。


順調に進んでいた作業をストップして、私も窓際へと近づいた。


「おーいっ、そっち行ったぞー!!」


グラウンドではサッカーをしている男の子たちがいた。

学年までは分からない。

でも、みんなが平野先輩って呼ぶってことは先輩たちなのかな。


「きゃ〜、平野先輩かっこいい!」


指をさしたり、手を叩いたり、すごく嬉しそうにはしゃぐクラスメイト。


その視線を辿ると、


「──あっ……先輩だ」


中央でサッカーをしているが、一人だけボールを追いかけていない姿が見えた。
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