角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「あ、そか。じゃあ手本見せるから」


へっ……そう思ったのも束の間。


……っ?!


ふにっ、と唇に触れた柔らかい感触。

すぐ目の前には、先輩の整った顔があり。


だけど、手本というよりは……。


「ど。覚えた?」

「い、いえ……」


全然、分からなかった……。

あまりにも突然すぎて、覚えるどころではなくなる。

代わりに残っているのは、唇の感触だけ。


「ま、慣れてなくてもいいから瑠衣からキスして」


目を閉じる先輩。


ええっ、このまま私が先輩にキス……。できるのかな。


目を閉じていてもどきどきするのは、それだけ先輩がかっこいい証拠。


「瑠衣まだ?」

「ちょ、っと、待ってください……少しだけ時間を……」

「いいけど早くしなきゃ昼休み終わるよ」


お昼休みが終わった方がキスしなくて済むんじゃないのかな……


「言っとくけど、キスしないと昼終わっても返してやんないから」

「えっ、うそ……」
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