角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

息を吸うのを忘れてしまうくらい、先輩に見入ってしまう。


「髪もすげー甘い匂いする」


先輩、そんなことされたら私……どきどきしちゃいます。


「あ、えっと、それは今日の朝早くに目が覚めちゃったのでお菓子を作ったので、それの匂いがついちゃったのかと……」


目立ちたくないのに、みんな見てる……。

どうしよう、逃げたい。


「それ今、持ってる?」


指遊びが済んだのか、パッと髪をほどいた先輩。


「え? ……あ、はい」

「じゃあちょーだい」


ええっ、今かな……。きっと今だよね。みんなの前でお菓子渡しちゃったらさらに目立っちゃいそうだけど、でもこの状況をなんとかするのが先だもんね……っ。


「は、はい……ちょっとまってて、ください……」


断ることができなかった私は、急いで自分の席へ戻る。そして、かばんの中を探す。

もちろんクラスメイトからの視線をばっちりと受けていた私。
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