角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

私がなにも言えずにいると、つばきちゃんがお菓子を取られるのを阻止する。


「えー、なんで! 4つも入ってるんだから1つくらいいいじゃん」

「これはあげる物だから日向くんにはあげられないの!」

「あげる? 誰に!」


日向くんがいきなり私の方を見て、詰め寄ってくる。


「え、えっとそれは……秘密です……」


これを先輩にあげるなんて言えない。

ううん、秘密にしなきゃ大変なことになるから。


「もしかして好きな人?」


えっ、好きな人……?


「ううんっ、違う、よ……」

「え、そーなの? じゃあ誰だろう」


先輩のことは、すごく優しい人だと思っているけど……それは“先輩”としてだもん。


「男子にあげるの? それとも女子?」


日向くんの追求はまだ終わらない。
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