角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「それにお母さん、こうも言ってました。瑠衣がおいしいって言う顔を想像しながらいつも作ってるの、って」
出来立てをもらっては、おいしいって食べていた私。
そしてお母さんは『瑠衣はおいしそうに食べるわね』っていつも嬉しそうだった。
「だから、いつもお母さんが作ってくれたお菓子はおいしかったのかなって思うんです」
いつしか食べる側から作る側になって、作る喜びを知った。
「だから私、諦めずに作ることができて、こうして今があるんです。先輩は、私のことをすごく褒めてくれるけど、全然そんなことないんです」
わっ、私ったらなにを一人で勝手に……!
「……って私、ひとりでぺらぺらしゃべっちゃってすみません!」
我に返ると恥ずかしくなって、顔から火が出そうになり目線を下げる。
「なるほど、それで瑠衣のお菓子はうまいんだな」
へっ、先輩……?
弾けたように顔を上げると、先輩の表情は少し和らいでいた。
「そうやって食べる側のことも考えながら作ってるから、なんつーのかな……瑠衣の愛情?みたいなのが込められてる気がする」