初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
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「恋をしたことないなんて、可哀想な人」



 真っ直ぐにこちらを見据える、嫌悪感と同情を含んだ視線を捉えた瞬間、落雷に打たれたような衝撃と、自分の心に何かが芽生えるのを感じた。


 ふわふわと感じる酩酊感。
 酔っ払うほど飲み過ぎていないはずなのに。


 アルコールを飲み干したグラスの中の氷が溶け、カラリと音を鳴らす。


 初めての、恋に落ちる音がした。






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