これが我が一族の能力〜鎌倉時代編〜
私が部屋で休んでいると、愁一郎様と青年がやってきた。



「明里、入るよ」
「ちょっ!愁一郎さんっ!あんた何してるんだよ!?女の子の部屋に無断で入るなんて」
「明里、キミの知り合いに"天后"っていないかい?」
「……いますけど」
「実はね、晴明殿の屋敷にさ、"天后"って不審者いるらしいんだ」
「!?」



天后、無事だったんだね。



『明里様ーっ』



あの時白い光に包まれた時、天后は私を庇うかのようにして私の前にきた。



「けど、愁一郎さん。晴明はヤバい!あの狸、何考えてるのかわかりゃあしねぇよ」
「明里はどうしたいんだい?」
「私、助けたいです!」



私がそう答えると隣にいる青年が困ったような顔をする。



「あの、ダメですか?」
「ダメというか……」



彼はため息を吐き、仕方ないという感じで渋々承諾した。



「あ、まだ自己紹介してませんでしたね!私は、明里といいます」
「俺はー」



彼が自己紹介しようとすると、愁一郎様が変わりに紹介してきた。



「この子はね、橘龍輝って言うんだよ!気軽に龍ちゃんて呼んであげてね!」



愁一郎様がそう言うと、龍輝殿は愁一郎の背中を思いっきりバシッと叩く。



「痛いよ……」
「当たり前だ!痛いように叩いてるんだからな!俺は子供じゃないんだから、子供扱いすんなよ!!」
「はいはい、わかったよ。そだ明里明日安倍家に行くからキミもおいで」



それだけ言うと、愁一郎様と龍輝殿は部屋から出ていく。



翌朝。
私は、愁一郎様と共に安倍家にやって来た。
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