もう一度、その声が聞きたかった【完結】
私は店内のスタッフに声をかけ
スタッフルームに急ぐ。

一刻も早く
男性に掴まれた手を洗いたかったのだ。

手を洗い終わってもさっきの感覚が消えない。

気を紛らわせる為に事務作業をするが
キーボードをタップする手が震えていた。


自宅に帰り
彼に相談しようかとスマホに目をやるが
心配させてしまうだけだと思い
結局連絡はしなかった。



次の日もその次の日も
警戒して店頭に立つが男性は現れなかった。


だから徐々に警戒心も薄れていた。
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