もう一度、その声が聞きたかった【完結】
勤務を終え、家に帰った。


もう見慣れた自分の家なのに
今日は落ち着かなくて
広い1Rをウロウロしては
ベッドに倒れ込み、また立ち上がる。

つい先日
勇人に自分の想いを伝えたばかりというのに
一目会っただけで頭の中は圭介のことばかり。

棚にある箱に目を向ける。
その中には…。

すぐに5年前の気持ちに
タイムスリップしてしまう。

ずっと夢にみてた
''さくら''と彼に呼ばれるのを…

もう一度、
その声が聞きたいと願っていたのに…。

胸がズキズキと痛む…。


勇人と交際を始めてから
あまり見なくなっていたあの夢。

再会した日の夜から
また彼の夢を頻繁に見るようになった。
< 81 / 168 >

この作品をシェア

pagetop