雲間に抜ける春一番
奈乃の言葉を繰り返し考えていたら授業の内容はとても頭に入ってこず、いつの間にか帰りのHRが終わっていた。



「咲良ー、帰りどっか寄ってかないー?」
「ごめん奈乃、私やる事できた!」
「え?」
「まじごめん!!今日先帰ってて!」
「あ、うん分かった……??」



すぐさま机横のカバンを抱えて、目の前でハナテを浮かべてる奈乃を置いて猛ダッシュをきめる。
「あんな必死な顔してどうしたんだろ?」なんて呟く声を背中に目的の場所へ一目散に走り出す。



はやく、はやくいかないと!!
誰よりも早く!!



気持ちが焦って足が縺れそうになりながら2年C組の教室へ急いだ。

目的の教室の開かれた扉に飛びかかり、中の様子を見る。



「っえ、いない…!!!」


まだ終礼が終わって間もないのだろう、
教室の中には大勢の人が帰りの準備をしてガヤガヤと話し声が聞こえる。
しかし、その中に目的の人 __一条瀬那 の姿が見えないのだ。

どうしようもう帰った!?とテンパりながら扉近くの男子生徒に王子の行方を聞いたが、知らないよ、帰ったんじゃない……とゲンナリした顔で言われてしまった。

あ……ごめん、そうだよね。今までも同じ事を何回も聞かれてきたんだよね……。


先程まで焦っていたのに一気に申し訳ない気持ちに変わり、毎日のように繰り返し姿を追われる王子も可哀想に思えた。


……いや、それを私が変えてやるんだ











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