日直当番【完結】
「遅くなっちゃったね。みんな時間大丈夫？」

「そうだな。丁度ワークのテスト範囲全部終わったから帰るわ」

「私も帰るよ」

「あ、進藤くんはこの問題まで付き合って！」

「しょうがないですね」

「進藤、今日はありがとな！マジ助かったわ」

「ありがとねー」

「どういたしまして」

　ふたりを見送ってから、家の中が急に静かになってしまってちょっと寂しい。途中になっていた因数分解の問題の続きに取りかかった。進藤くんの端的かつ的確な説明のおかげで滞りなく解き終わった。

「ふー終わったー。今日はたくさん教えてくれてありがとう。余ったお菓子持って帰って。今日のお礼」

　ビニール袋にお菓子を詰めて進藤くんに渡した。

「ありがとうございます」

「あんまり自分の勉強にならなかったよね…？」

「いいえ、そんなことはないですよ。今日みたいに、複数人で一緒に勉強するのは初めてでした。今日は楽しかったです」

　進藤くんは表情を緩めた。最近、ふとしたときに柔らかい笑みを浮かべるときがある。少し前までは、笑うと言っても人をあざ笑ったり、冷ややかに笑ったりするようなイメージだったのに。

あのときも、笑っていたのかな、とこの前の放課後見た進藤くんと見知らぬ女の子の姿を思い出して胸が締め付けられた。
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