日直当番【完結】
「似たようなもんでしょ。それより由理がすんごいテンション低いんだけど」

「どうした悩みか。どれどれお兄さんに言ってみなさい」

「なんでもないよ。本当に」

「神崎、俺岩戸に信用されてないみたい」

 皆川はおおげさに手で涙をぬぐう真似をした。

「ドンマイ皆川。そう落ち込むなって」

 皆川の動きが一時停止した。

「ちょちょちょ神崎」

 皆川が椅子ごと私に近づいてきて、由理に背を向けるようにして私に小声でささやいた。

「おまえ、岩戸に余計なこと言ってねえだろうな」

「余計なことって何よ。別に変なことは言ってないよ」

 私は頭をぶんぶんと横に振った。ふたりで由理の顔色をうかがうように振り向いた。

「なに」

 由理は不機嫌そうに眉をひそめている。

「由理ちゃんどうしたのー?」

 皆川は笑顔をつくってひらひらと手を振った。私もつられてぎこちなく笑顔をつくった。

「トイレ行ってくる」

 由理は席を立って足早に教室を出て行ってしまった。

「なあ、なんで機嫌悪いの」

「わかんない」

 由理は昼休みが終わるぎりぎりまで教室に戻ってこなかった。
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