ゆるふわな君の好きなひと
ホームルーム終了後に眞部くんが由利くんを呼びに来るのも、気まぐれな由利くんに腹を立てる眞部くんのことを璃美が宥めるのも、放課後によく見る光景だ。
「どうして眞部くんの誘いを断っちゃったの?」
「青葉はあのふたりと勉強したかったの?」
わたしの質問に、由利くんが質問で返してくる。
「今日は部活もないし、晴太と泉尾さんもたまにはふたりで帰ったらいいんじゃない? 晴太はいつもおれの世話焼いてばっかだから」
あぁ、由利くんなりにあのふたりに気を遣ったんだ。
部活が同じで、地元が一緒で、帰る方向が一緒の由利くんと眞部くんと璃美は、だいたいよく三人で一緒にいる。
眞部くんと璃美がふたりきりでいるところよりも、眞部くんを真ん中に挟んで由利くんと璃美で並んでいるところを見かけることのほうが多いような気もする。
いつの間にかまた机の上にだらりと身体を預けている由利くんを見て、そんな気遣いができるなら普段からもっとちゃんとすればいいのにと思ってしまう。
「自覚があるなら、眞部くんが世話焼かなくてもいいようにしてあげたら?」
そう言うと、机から顔をあげた由利くんが口角をそっと引き上げた。
甘く、それでいてどこか悪戯っぽくも見える由利くんの笑顔を見下ろしながら、これは確信犯なんだなと思った。