ゆるふわな君の好きなひと

「もしものときにために、青葉、絆創膏用意しといて」

「どうしてわたしが……」

「だって、ケガの手当してもらうなら、青葉がいいし」

 由利くんが、大きな垂れ気味の目を少し細める。

 またそうやって、わたしが特別みたいな言い方をして……。


「意味わかんな……」

 顔を背けながらそう言いかけたわたしは、由利くんの言葉の意味にハッとした。


「もしかして由利くん……、わたしのことを眞部くんがいないときの保護者代理にしようとしてない?」

 それなら、人の顔も名前もまともに覚えない由利くんが、わたしにやたらと懐くのにも納得がいく。

 振り向いて由利くんの顔をジッと見つめると、彼が長い睫毛を揺らしてパチパチとまばたきをした。


「たしかに。青葉って、なんだかんだでちゃんとおれに構ってくれるもんね」

 不思議そうな表情を浮かべていた由利くんが、表情を崩してふふっと笑う。その笑顔を見て、やっぱりなって確信した。
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