ゆるふわな君の好きなひと
「由利くん、もうちょっと他人に関心を持ったほうがいいよ」
「めんどくさい。おれ、人見知りだし」
「ウソばっかり」
「ほんとだよ」
初めて保健室のベッドで会話したときもそうだったけど、由利くんの適当さは、たまに女の子とのトラブルになる。
勘違いさせるような態度をとっちゃう由利くんも由利くんだし、人の顔も名前もまともに覚えようとしないようなやつを好きになっちゃう女子も女子だと思うけど。
由利くんの態度に期待して踏み込みすぎちゃった女の子は、たいてい裏切られて泣かされている。
「さっきの子たち、別れ際にすごい睨んでたよ。たぶん怒ってたと思うから気をつけてね」
もしかしたら、彼女たちが怒ってたのは由利くんを連れて行ったわたしに対してかもしれないけど。
冗談交じりに忠告すると、由利くんが真顔で頬に手をあてる。
「また叩かれるかな……」
「それは、知らないけど」
呆れ顔で笑うと、由利くんがふにゃっと表情を和らげた。