幼なじみが愛をささやくようになるまで〜横取りなんてさせてたまるか〜
数日後、19時の閉店間際になり私と唯ちゃんは片付けに追われていた。
駆け込みのお客様も少なくないので閉店作業と並行して対応していた。
最後になり、ふと視線を上げるとあの時の彼が立っていた。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは。ギリギリにきてごめんな。いそがしそうだから悪いと思ったんだけど」
「気にしないでください。あ……でもナポレオンパイが今日はもう売り切れてしまって」
数人前のお客様が最後のふたつを購入していたのを思い出した。
私が頭を下げると「君のせいじゃないだろう」と笑う声が聞こえてきた。
「もっと次は早くくるよ」
ご立腹になるお客さまだっているのに彼はそういうタイプではないのだと思うとまたほっとさせられた。
「もう閉店なんだよね? このあと一緒にご飯に行かないか? あの時のお礼がしたいんだ」
「お礼だなんていいです。何もしてませんから」
「一緒に歩いて下山してくれたよ。ホットチョコレートもご馳走してくれたよ。俺にとっては十分に洗いに値するが」
そういうと私に名刺を差し出してきた。
そこには企業コンサルタントマネージャー町屋恭平と記されていた。
「町屋さん?」
「君は?」
「谷口ひまりです」
「ひまりちゃん、お礼をさせてほしい」
何度も話しているのに今更お互いの名前を名乗るなんて変な感じだが、何度会っても彼に嫌な印象はない。
でも食事に行くことを躊躇ってしまう。
すると後ろから唯ちゃんが名刺を覗き込んできた。
「あ、知ってますよ。ここのコンサルタント有名なんです。テレビにも出てるし、最近だと企業再生させたって話題になってたじゃないですか」
「そうなの?」
「うーん、なんだったかなぁ。会社名が出てこないけどテレビに出てましたよ。破綻寸前の会社を再生させたって」
「ありがとうございます。怪しい職業だと言われがちなのでご存じの方がいて心強いです」
彼は苦笑いしながら唯ちゃんに頭を下げていた。
たしかにコンサルタントってよく分からない。
けれど唯ちゃんの反応からすると怪しい会社ではないのだろう。
「ひまりさん、ご飯に行ってきたらどうですか?私が残りを片付けますから」
「そんなのダメよ。仕事はちゃんとするわ」
「なら待っていれば行ってくれるのかな?」
そうとは言ってないんだけど彼は期待顔で私を見てきた。
今更彼のことを危険だとは思わないけれど改めて食事に誘われると緊張してしまう。
すると小さな声で唯ちゃんが耳打ちしてきた。
「ひまりさん、こんな人と出会えるなんて機会滅多にないですよ。行くべきです。身分も明かしてくれていい人じゃないですか」
唯ちゃんに背中を押され私は町屋さんに向かって頷いた。
駆け込みのお客様も少なくないので閉店作業と並行して対応していた。
最後になり、ふと視線を上げるとあの時の彼が立っていた。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは。ギリギリにきてごめんな。いそがしそうだから悪いと思ったんだけど」
「気にしないでください。あ……でもナポレオンパイが今日はもう売り切れてしまって」
数人前のお客様が最後のふたつを購入していたのを思い出した。
私が頭を下げると「君のせいじゃないだろう」と笑う声が聞こえてきた。
「もっと次は早くくるよ」
ご立腹になるお客さまだっているのに彼はそういうタイプではないのだと思うとまたほっとさせられた。
「もう閉店なんだよね? このあと一緒にご飯に行かないか? あの時のお礼がしたいんだ」
「お礼だなんていいです。何もしてませんから」
「一緒に歩いて下山してくれたよ。ホットチョコレートもご馳走してくれたよ。俺にとっては十分に洗いに値するが」
そういうと私に名刺を差し出してきた。
そこには企業コンサルタントマネージャー町屋恭平と記されていた。
「町屋さん?」
「君は?」
「谷口ひまりです」
「ひまりちゃん、お礼をさせてほしい」
何度も話しているのに今更お互いの名前を名乗るなんて変な感じだが、何度会っても彼に嫌な印象はない。
でも食事に行くことを躊躇ってしまう。
すると後ろから唯ちゃんが名刺を覗き込んできた。
「あ、知ってますよ。ここのコンサルタント有名なんです。テレビにも出てるし、最近だと企業再生させたって話題になってたじゃないですか」
「そうなの?」
「うーん、なんだったかなぁ。会社名が出てこないけどテレビに出てましたよ。破綻寸前の会社を再生させたって」
「ありがとうございます。怪しい職業だと言われがちなのでご存じの方がいて心強いです」
彼は苦笑いしながら唯ちゃんに頭を下げていた。
たしかにコンサルタントってよく分からない。
けれど唯ちゃんの反応からすると怪しい会社ではないのだろう。
「ひまりさん、ご飯に行ってきたらどうですか?私が残りを片付けますから」
「そんなのダメよ。仕事はちゃんとするわ」
「なら待っていれば行ってくれるのかな?」
そうとは言ってないんだけど彼は期待顔で私を見てきた。
今更彼のことを危険だとは思わないけれど改めて食事に誘われると緊張してしまう。
すると小さな声で唯ちゃんが耳打ちしてきた。
「ひまりさん、こんな人と出会えるなんて機会滅多にないですよ。行くべきです。身分も明かしてくれていい人じゃないですか」
唯ちゃんに背中を押され私は町屋さんに向かって頷いた。