無理、俺にして
「おーい」

「っ」


急に折原くんの声が横からかけられ、びっくりして勢いよく立ち上がってしまった。


「逃げんな?」

「だ、って、聞いてた話と違う」


恥ずかしすぎて、いつもみたいに声が出ない。
下を向いてるから分からないけど、きっとみんなこっち見てる。
恥ずかしい、嫌だ、逃げたい消えたい。


「聞いてた話? オリ、ゆめちゃんになんか」

「ごめそ、気分が変わった。秋音とじゃれたくなったにゃ」

「……」


恥ずかしすぎて、早くここからいなくなりたくて。

自分はこの二人とは何も関係ないと皆に見せるためにも声を出さずに教室を出る。


「え、ちょ待って、どういうこと?」

「まあまあ落ち着け秋音よ、俺は用事があるんでこれ以上キミちゃんの相手はできん。ばいなら」

「いや、入れ替わって終了かよ、何しに来たんだよ」

「じゃれに来たって言ったよ? 俺」


そんな会話が後ろから聞こえてくる。
その後、クラスの皆の二人に絡みにいく声がして、教室はいつもの昼休みより賑わう。

それを背中で感じながら、私はとある場所を目指して歩みを進めた。

いつもの屋上とは違う場所に向かうだけで、こんなにもドキドキするなんて。


< 61 / 202 >

この作品をシェア

pagetop