双子の兄弟が異常なくらいに溺愛してきます
「もう、しょうがないこなんだから」

と言いつつもヘアピンを取ってくれるお母さん。

このヘアピンは、幼馴染の双子の麗央と聆が私の誕生日にプレゼントしてくれたものだ。
レース柄の白いヘアピン。小学生の頃からずっと使い続けているが、まだ雪のように真っ白のままだ。

麗央と聆は、昔からの幼馴染。幼稚園の時からずっと一緒だったが、私が13歳の時に、あるトラウマを植え付けられた。
それからというもの、男子が怖くて仕方がない。
でもこのヘアピンをつけてると、すごく落ち着いて、触れられさえしなければ、話すくらいなら大丈夫になった。

だから毎日欠かさずこのヘアピンを身に着けているのである。

「ねぇ那柚、突然のことで悪いのだけど…「ごめん、もう時間だから行ってくるね!」

「ちょっと那柚!」

ごめんねお母さん、間に合わないから、もうでなくちゃいけないの!話はあとで聞くから!
と心の中で謝っておいて、早急に家を出る。

「やばい、走らないとバス逃しちゃうかも!!」

本気でバス停まで走る。
うちのお父さんは、転勤が多くて、引っ越しすることが多々ある。
そしていま私たちが住んでいるのは、かなりの田舎。
私の男子嫌いがあるので、一番近い女子高に通わせてもらっているのだけど、バスで通わないと、歩いたら一時間半かかってしまう。そう、私の交通手段は、近くでない限り、車とバスに限られてしまうのだ。
今回、友達をこんなところに誘っても、遊ぶところが公園だけなので、学校に近いところで遊ぶことにした。

「ふぅ、間に合った…」

一つため息をつく私。

バスに揺られて、窓の外をぼーっと眺めていると、もう着いてしまったらしい。

「那柚ー!!」

もう友達は先についていたらしい。
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