幼なじみの一途な狂愛
梨々香が“終わりにしようと思ってる”と言った。

だったら、俺はそれまで待とう。と、乙哉は心に決める。


幼なじみ故の勘なのか、相手が愛する梨々香だからかわからないが、それから二週間後………

妙な、胸騒ぎを覚えた週末。

梨々香に電話をかける。

ブチッと切られた。
傷ついたが、仕事中だったのかもしれない。

そう思い直し、メッセージを入れる。

直ぐ様“既読”がつく。

梨々が、俺のメッセージを見てくれた!
思わず笑みが出た、乙哉。

「乙哉が、にやけてる……」
「なんか、怖っ(笑)!!?」
悟史と貴生が、笑っている。
でも乙哉は、全く気にならない。

それよりも━━━━━━━

なかなか、梨々香から返事が来ない。

(まさか!嫌われた…!!?)
そんなの、耐えられない。

なんで!?
俺の何がいけなかった……!!?



パリーーーン!!!!

カウンター席にいた客がグラスを落とし、割れる音がバー内に響いた。



不倫相手に会っている━━━━━━━━

咄嗟に、そう思った乙哉。

スグル達に断りをいれ、梨々香のアパートに向かった。


三時間後━━━━━━━

梨々香が帰ってきた。
一目見て、すぐにわかった。

あぁ、やっぱり……不倫相手に会ってきたんだ。

と━━━━

そして、なんとなく……別れを告げたんだろうということもわかった。

だったらもう………
遠慮も、容赦もしない。

もう二度と、絶対、放さない。

傍を放れない。


最低な男の存在なんて、この俺が全て消す。


「俺なら、梨々に“一番”をあげられるよ」




これからの人生を、梨々に捧げよう━━━━━━━━






梨々香も、乙哉を想っていたことを知る。

これからは、ゆっくり愛を育んでいこう。

時間はたっぷりある。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「梨々、俺があんな男なんて“地獄”に落としてあげるからね……!もう二度と、梨々に関わらせない!
大丈夫だよ………?
梨々はただ、俺だけを頼って、掴まってくれればいい……」

俺の梨々を傷つける、悲しませる、苦しませる人間は、絶対に許さない。

地獄に落としてやる━━━━━━


この“俺が”!!!



乙哉はしばらく、梨々香の寝顔を見つめていた。

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