幼なじみの一途な狂愛
どうして乙哉は……

“好き”と、こんなに面と向かってはっきり言えるのだろう。

私は、たったその一言が言えずにいるのに━━━━━


「乙哉」
「んー?」
「恥ずかしくないの?」
「何が?」
「“可愛い”って言ったり、その…“好き”って言ったり……」

「恥ずかしくない」
「そ、そうなんだ」

「だって、ほんとのことだし。
それに俺は、嘘は嫌いだ!」
いつになく、真剣な乙哉。

「私は、恥ずかしい…」
「うん、わかってるよ?
そうゆうところも、可愛い~!」
頭を撫でてくる、乙哉。

「乙哉」
「ん?なぁに?」
「私ね……?」
「ん?」
「乙哉が」
「うん」

「━━━━っす…!!」

~~~~~♪♪♪
乙哉のスマホが、鳴り響く。

「あ、ごめんね!
…………スグルだ!
もしもし?」
スマホを耳に当て、窓際に移動する乙哉。

「…うん、うん。
━━━━━は?瑛茉(えま)が?」

えま…?
…………って、誰?

「は?やだよ!」

誰!?

「行かねぇよ!」

誰!!?

「当たり前だろ!?」



“気づいた時には、手遅れってことあるからね”



「やめて!!!」

「え…!!?梨々?」

「行かないで!!」
乙哉にしがみつく、梨々香。

「ちょっ…どうした?」
「お願い!!」
乙哉を見上げ、懇願する。

「落ち着け、梨々!!」
「乙哉、私を一人にしないって言ったじゃん!!」

「わかったから!」
「嘘、嫌いなんでしょ!!?
だったら、行かないで!!!」

「うん、行かないよ!!何処にも行かない!!
だから、大丈夫だよ?」
「ほ、ほんと……?」

「うん、行かないよ」
ゆっくり梨々香の頭を撫でる、乙哉。

「良かっ…た…」
しがみついていた手を離し、安心したように呟くとその場にへたりこんだ。


「梨々、どうしたの?」
乙哉もしゃがんで、梨々香の顔を覗き込んだ。

「………」
「ん?梨々、言って?」

「………き、なの…」
「ん?」


「好きなの!!乙哉!!」
乙哉を真っ直ぐ見て言う、梨々香。


「え……」
乙哉の目が、見開かれる。

「私、乙哉が好き!!
私を、乙哉の恋人にして?」
そしてもう一度、はっきり言い放った。


「俺の恋人になってくれるの?」
「うん、なりたい!」


「うん!俺も!梨々の恋人になりたい!!」




乙哉はそのまま両足で梨々香を挟み、頬を包み込んだ。
「梨々、キス…したい…な……」

< 31 / 42 >

この作品をシェア

pagetop