幼なじみの一途な狂愛
壊れる、歯車
「梨々香」
「お疲れー」
「久しぶりに、食事でもどう?」

ある日の仕事終わり、心実が声をかけてきた。

「ちょっと待って。
乙哉に言わなきゃ!」
「うん、了解!」


『えーー!!やだぁー
梨々に早く会いたい!』
「お願い!!久しぶりだし」
『………わかった…
その代わり、帰ったらいっぱい抱かせてね!
梨々ちゃん、今日は寝れませーん!』
「はい?」
『梨々をいっぱい感じて寝ないと、満足できない。
仕事以外で離れてると、不安になる』
「乙哉…」
『だから梨々を、いっぱい感じさせて』
「わかった…」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「カンパーイ!!」
二人でお洒落な、イタ飯屋に来ている。

「ん!旨っ!」
「ほんと、美味しい~
心実、彼とどう?」
「うん、上手くいってるよ!
ほら、他の人の幸せを奪った恋だし(笑)」

「心実」
「んー?」
「その言い方やめよう!」
「え?」
「本当に好きな人を一発で見分けて、しかもその好きな人と結ばれるなんて奇跡みたいなものだよ。
みんな回り道をして、幸せを掴んでいくんだと思うよ!きっと……」

「………そうだね!ありがとう!」


「━━━━━━でさ!彼が嫉妬して大変だったの!」
「へぇー、この前見た感じでは、そんな激しい人には見えなかったけどなー
落ち着いた感じがして、いつも冷静っぽく見えた」
「まぁ、基本的には冷静かな?
でもたまに、熱くなって想像以上のことをするって感じかな?」
「そっか!」


「━━━━━━そろそろ帰る?」
「うん、そうだね!」

乙哉に連絡し、店の前で待っている梨々香。


「梨々香……?」
「え?」
「やっぱり、梨々香だ!」
ある男性に声をかけられた。

啓介(けいすけ)?」
「そう!!久しぶりだなぁー」

「うん、久しぶり!」
「一人?」
「ううん。友達と食事に来て、友達は彼氏さんが迎えに来て帰ったの」
「じゃあ、俺が送ろうか?」
「ううん。大丈夫、私も彼待ちなの」

「彼?
……………その彼は“梨々香が見えてる”?」

そう━━━━━━━━
啓介は、梨々香の初めての彼だ。


「うん。大丈夫」
「そっか…仕事は?何やってんの?」
「インテリア。
◯◯インテリアで働いてる」
「あー、不倫課長の?」

「え?あ、うん…」
「へぇー
━━━━━━━!!!?
梨々香!!?」

突然、啓介に左手を掴まれた。

「え!!?ちょっ…啓介!!」
「お前、結婚したの!!?」

「結婚…するの。婚約者がいる」
「マジで……そいつはどんな奴!?」
「啓介!!手、離して!!」
「やだよ!!
俺は━━━━━━━」

グッと、強い力で引き寄せられた梨々香。
その“匂い”にとても安心する。

「乙哉…」
「俺の梨々に、触るな!!」
乙哉は梨々香を抱き締め、啓介を鋭く睨みつけていた。

「お前、婚約者?」
「そうだよ」
「お前は、梨々香がちゃんと見えてんの?」

「あぁ、しっかり!」
「そう…か……」

「だって、俺が梨々の本当の好きな男だから!」
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