慶ちゃんが抱いてくれない!
ハッ!
私はその男子の腕を掴んで、唇に近付いていた。
我に返って急いで離れた。
「ごめんなさいっ!」
やだああぁ!!
違うもん!あの人慶ちゃんじゃない!
慶ちゃんの唇が良い……でも……唇なら……なんでも良いかも?
「アレ!?真穂!?何で教室から出てきてるの!?もう薬飲んじゃってる?危ないから戻ろう?」
「……むさ…し君だぁ…」
どうやって武蔵君と慶ちゃんの所に辿り着いたかわかんないけど…よかった……。
「おい…真穂、何か変じゃね?お前等また何か変な魔法薬作ったのか!?」
「慶ちゃんもいるー……はあぁ…慶ちゃーん」
「真穂!俺は慶次じゃないって!うわッ…いったた……」
慶ちゃんに抱き着くと、慶ちゃんはバランスを崩して倒れ込んだ。
一緒に倒れ込んだ私は慶ちゃんの上に馬乗りになっていた。
キス……したい……。
慶ちゃんの頬に吸い付くようにして、唇を押し当てる。
「真穂!しっかりして!俺、慶次じゃないから!」
唇にもしたい…
唇しか見えない……やっとキス出来る……
唇に自分の唇を近付けると、後ろから誰かの手が私の唇を手で覆った。