慶ちゃんが抱いてくれない!
手が邪魔でキス出来ない。
「やだあぁ!キスしたいの!キスさせて!」
「馬鹿!暴れんな!」
「慶次!誰かに見られるとまずい!そこの視聴覚室連れてってこの水飲ませて押さえてて!俺、外で見張ってるから!」
私は再び唇を手で押さえられながら抱き上げられて、何処かの教室に連れて行かれた。
中に入るとキスの邪魔をした手は外されたけど、今度は手を掴まれて押さえ付けられる。
「離してっ!キスするの!」
「ほら、これ飲めよ!」
…視界が狭い。
飲み口の開いたペットボトルが口元に押し当てられる。
「やだぁ!ペットボトルとなんかキスしたくないもん!唇とキスするのっ」
「ちげぇよ!飲めって言ってんの!」
「やだ!キスしたいーっ!」
「騒ぐなって!ああぁー!もう!これカウントすんなよ!?」
すると、突然顎を持ち上げられて唇が塞がれた。
そして…緩んだ唇がこじ開けられるような感覚がしたかと思うと、口の中に水が流れ込んで来て私はそれを飲み込んだ。
あ…私……今……キスしてる。
私はキスをしている相手の首の後ろに腕を回して、ギュッと抱き着いてキスを続けた。
……トロンと溶けてしまいそうなくらい気持ち良くて……幸せな気持ちでいっぱい…。