唯くん、大丈夫?
「まぁまぁ。あそこのパフェ奢るからさ。知ってる?楓風堂のパフェ。」











楓風堂の、パフェ…?




私の喉がゴクリと鳴った。





「楓風堂って……ひとつ2,000円ぐらいする…?」




金髪イケメンがニッコリと微笑んだ。


「そう。全メニュー何頼んでもいいよ。」


「ぜ、全メニュー…」


私がもう一度ゴクリと息を飲むと、隣から痛いほどの視線が頬にささった。







「…」







紫藤ユリアの、これでもかというほどの蔑んだ目。

『お前は、バカか?』と顔に書いてある。

ドン引きを絵に描いたような体ののけ反り具合だ。







「…イキマセン!断固!絶対!!」



私は頭の中から必死で2,000円のパフェを追い払って、白目で断った。

さようなら、2,000円のパフェ。



金髪イケメンが勝利を確信したような顔で私を覗き込む。


「フフ…君、わかりやすくてかわいいね。大丈夫、本当に時間は取らせないよ。お名前は?」


「え?はね……あばばば、言いません!」

「ふむ。『はね』から始まるんだ?」


また金髪イケメンが嬉しそうに笑った。


あーもう!どうしよう、また会話しちゃってる!キリがない!




「あの」



イケメンたちの後ろから聞き慣れた声。

紫藤ユリアの手がビクッと震えた。

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