唯くん、大丈夫?
「いつまでやってんだバカップル」



この声は…



「…てらちん!」


教科書を丸めて持ち、呆れた顔でこちらを見下ろす、てらちんこと寺田先生。


「え!!てらちん、担任!?」

「あぁ、残念ながらな。はぁー、残念だ」

「またまたぁ~嬉しいくせにぃ」

「いいから席つけ問題児。HR始めるぞ」

「やだ!ここで受ける!なんでよりによってあんな遠い席!?解せぬ!!」


私と唯くんの席は遠く離れて角と角。これ以上ないぐらい遠い席だ。

てらちんがため息をついて教卓に資料をドサッと置く。


「当たり前だろ。お前らみたいな問題児カップル、本当だったら別クラスなところを理系クラスがひとつしかないから仕方なくこうなったんだよ」

「ぐう…」


ぐうの音は出た。唯くんは興味なさげにあくびをしてる。


「いいからとっとと席つけ羽根村。ご褒美に最初の授業の問題やらせてやるから。な」

「先生!職権濫用だと思います!」

「ほー。難しい言葉覚えたなぁ羽根村。先生はお前の成長を感じて嬉しいよ。ご褒美に1番難しい問題あててやるからな。はい日直、号令してー」

「うわぁん!てらちんの意地悪!横暴教師!」

「今から5秒以内に戻らないとテスト範囲広げまーす」

「寺田先生大好き!かっこいい!日本一!」


言いながら自分の席にダッシュした。
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