唯くん、大丈夫?
唯くんが、委員長がいたはずの席で頬杖をついてめっちゃ見てる。


無表情の唯くんがめっ………ちゃ、見てる。


……まぁ。なんという圧でしょう。


「ゆ…唯、くん?」

「ん」


唯くんは高田君を見つめたままだ。


「どしたの?」

「何が」


何が、と言われると、何がなのかうまく言えない。

高田君は蛇に睨まれたカエルみたいになってる。


「…あ……あー!よう、五十嵐!同じクラスだったんだな、話そうぜー!」


高田君は逃げるように席を立った。


「こらこらー」

唯くんに席を奪われたらしい委員長が、隣の空いた席に座って足を組んだ。

「束縛良くないよー九条くん」

「別に見てただけじゃん」

手持ち無沙汰になったらしい唯くんは私の筆箱のチャックを開け閉めしている(かわいい)。

「それが怖いんだって!ねぇ?」

「う、うーん」


唯くんは、ヤキモチ焼きだ。

唯くんとおつきあいしてから、それが顕著になった。

こないだも別の男子数人となんでもない雑談をしてたら、唯くんが例の三白眼でじー…と見つめて男子達を追い払ってしまった。

私にとって気兼ねなく話せる男の子の友達は、女の子の友達と変わらないぐらい大事で、大好き。

だから話せなくなると思うと、ちょっと悲しい。

唯くんが嫉妬してくれるのはすっごく、すっっっごく嬉しい。


…でも

男の子の友達と話すたびにこれをされるのは、ちょっと複雑だなぁ…。

これって贅沢な悩みなのかな?
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